学園だより

学園歳時記【はづき第1号】〜研究科に学んで(学生の手記より)

平成24年8月1日(水)
今春、定年退職を機に、亡くなった母が続けてきた小さな茶道教室を継ぐことにいたしました。といっても自分の点前や指導法などに強く不安を感じ、助けを求めるような気持ちで裏千家学園への入学を決めました。
研究科春期3か月コースは、風炉点前を中心とした実技主体のカリキュラムです。実技には毎日、異なる先生がお座りになり、いろいろな視点から見てくださいます。私が最も注意を受けたのは、心配していた点前順序ではありませんでした。立つ、歩く、坐るお辞儀をするという基本的な動作でした。自分では気付かない癖や勘違いを、先生方はそれぞれの表現で指摘してくださいました。ときには厳しいその言葉の奥に優しさや気遣いが感じられました。
桐蔭席での稽古茶事に臨むにあたっては、親身に相談に乗ってくださり、ご自身の体験談をまじえて励ましてくださった先生もいらっしゃいました。「いつか私もこんな先生になりたい」と思えるようなたくさんの先生方に出会うことができました。
もう一つ忘れられないことは、今日庵内茶室で行われる直門稽古の見学です。これまで写真でしか見たことがなかった憧れの場所。茶道を志した多くの先人達が稽古に励んだ茶室に私も今坐っているという感激が、これからも茶の道を精進していこうという決意に繋がりました。人生の転機に新しい生き方を見つけることができた3か月。素晴らしい機会を与えてくれた裏千家学園に感謝のことばが見つかりません。
 
平成24年度研究科春期3か月コース 安田由紀子〜『淡交タイムス平成24年8月号』掲載記事より





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