学園だより

学園歳時記【ながつき第1号】〜石工を訪ねて―西村石灯呂店見学

平成24年9月5日(水)

厳しい残暑の続く9月5日(水)午後、尼崎博正先生の「庭園」講義では左京区北白川の西村石灯呂店を訪れました。比叡山麓や北白川一帯は古くから良質な花崗岩が採れたため、平安時代からすでに採石や石塔製作が盛んに行われていたようです。仏教が隆盛を極めた鎌倉時代には石工技術は高度に発達し、桃山時代になると茶の湯の影響を大きく受け、その技術と表現がいっそう洗練されていきます。
西村石灯呂店の西村金造氏・大造氏親子は、石工芸の第一人者として活躍されています。手彫りのみの伝統的な工法を受け継ぐ五代目の店主・金造氏は昭和59年に、長男の大造氏は平成7年に伝統工芸士に認定されました。また、京都迎賓館の建設にあたっては灯籠、手水鉢、沓脱ぎ石など石造全般を手がけられています。今回の講義では、石灯籠の構造や製作過程、また時代ごとの特徴などを学びました。また、作業場ではノミや金槌などの道具、石灯籠を加工する作業を間近で拝見しました。

学生たちは、
「一つの石灯籠を造るのに数ヶ月かかることもあり、緻密で根気の要る手仕事であることを知りました。金造さん、大造さんが仕事に対して誇りをもち、楽しそうに石に向き合っている姿がとても印象的でした」
「石灯籠の製作技術は鎌倉時代にすでに頂点に達していたと聞いて驚きました。技術も作品も千年を越えて生き続けるもの。普遍性と永遠性を感じました」
「たくさんの石塔や石灯籠が山中に無造作に置かれていましたが、年月をかけ苔むしさせることで独特の風情を帯びるのだということが分かりました。職人の技と自然の力が合わさって石灯籠が完成することを知りました」
など、さまざまな感想を語ってくれました。

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