学園だより

学園歳時記【しもつき第6号】〜紅葉狩りハイキング〔鞍馬篇〕

平成24年11月30日(金)

例年に比べると今年は雨の多い11月でした。一日の気温差が大きく、強風に見舞われた日も少なくありませんでした。おかげで紅葉の見頃は駆け足に過ぎさったようです。早くも冬の気配が感じられる11月30日(金)、茶道科3年生が鞍馬方面へハイキングに出かけました。
集合場所の出町柳駅から叡山電鉄鞍馬線「きらら号」に乗車。しだいに人里を離れ、電車は深い渓谷にそって進みます。すでに冬支度を始めた山々の景色を眺めていると、ほどなく鞍馬駅へ到着。改札口を出ると、大きな天狗の面に出迎えられました。鞍馬といえば大佛次郎の小説や能の曲目としても有名な『鞍馬天狗』の舞台。平安時代から修験道の霊地として栄え、牛若丸こと源義経ゆかりの地としても知られています。古い佇まいの土産物屋が軒をつらねる街道を歩き、仁王門から山内に入ります。はじめに由岐神社を訪れました。鞍馬一帯の氏神でもある由岐神社は平安時代の創建。毎年10月22日に執り行われる例祭、「鞍馬の火祭」は京都三大奇祭の一つに数えられます。拝殿(重要文化財)は、中央を石段がくぐる珍しい造り。割拝殿形式と呼ばれます。本殿とともに豊臣秀頼によって桃山時代に再建されたものです。由岐神社をあとにし、つづら折りの参道を登り鞍馬寺本殿金堂に辿りつきました。鞍馬山の中腹にある鞍馬寺は鞍馬弘教本山です。本殿金堂を参詣し、見張らしのよい広場で、ひと休み。新庄くんが持参した茶箱をひらき、野点が始まりました。澄んだ空気のなか、小鳥のさえずりを聞きながらの一服は格別でした。
鞍馬寺の文化財や寺宝が展示された霊宝殿を見学し、さらに山奥へ分けいります。行く手にそびえる杉の林。木の根がむき出しになった不思議な光景が広がっています。自然が作り出したこの造形は「木の根道」と呼ばれています。鞍馬山のなかでも随一の聖地である魔王殿を過ぎると、その先は下り坂です。とはいえ険しい登山道、足元はところどころぬかるんでいます。縦一列になり慎重に歩を進めること、およそ20分。川のせせらぎが聞こえてきました。次の目的地、貴船神社は目の前です。貴船は鴨川の水源地です。万物の命のみなもとである水、貴船神社は水の神であるタカオカミ神が祀られています。そもそも「キフネ」という名称は「気生根」、すなわち「気の生まれる根源」が転じたという説もあります。「水占(みずうら)みくじ」は貴船神社の名物。社殿前の石垣から湧き出る御神水にくじを浸すと、文字が浮かんできます。うっすらと現れる水神のお告げに、学生たちは興味深々の様子でした。
京都でも有数のパワースポットである鞍馬山。豊かな自然に抱かれ、神秘のエネルギーを全身に浴びた一日となりました。

 

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