学園だより

学園歳時記【かんなづき第1号】〜石清水八幡宮献茶式添釜

平成25年10月04日(金)
少しずつ秋が深まってきました。涼やかな風がキンモクセイの香りを運んできます。 10月4日(金)、八幡市の石清水八幡宮にて坐忘斎家元奉仕による献茶式が執り行われ、茶道科3年生(50期)が野点席を担当しました。
今年は鵬雲斎大宗匠が4月に卒寿を迎えられ、坐忘斎家元は継承から10年の記念の年です。 9月には千家2代少庵宗淳居士の400回忌、裏千家14代無限斎碩叟宗室居士の50回忌法要が大徳寺にて営まれました。 そんな大きな節目の年に50期生が添釜を担当するのも何かのご縁でしょうか。3年生は茶席で「寿ぎ」を表現したいと知恵を絞り工夫を凝らしました。
床は坐忘斎家元筆の短冊『瑞雲繞寿山(ずいうんじゅざんをめぐる)』。 烏帽子形の籠花入に吹上菊がひっそりとたたずみ、藤袴と刈萱がひなびた赴きを演出します。京北町に住む研究科修了生から譲ってもらった山野草たちです。 点前には無限斎好の千歳盆を用い、小ぶりな面取風炉に玄々斎直筆の文字が鋳込まれた鉄瓶。 九重の色紙があしらわれた即全の茶碗をはじめ、工房を訪ねた折に頂いた辻村史朗氏の粉引や黒唐津。 他に十三軒窯や桂窯、備前の窯元で3年生が手捏ねした様々な形と色の茶碗を用いました。 古帛紗は無限斎が還暦に好んだ祥寿緞子の裂地を手縫い。和紙の席札には消しゴムを削って作ったゴム判でロゴマークと番号をスタンプしました。 菓子は手作りの栗蒸羊羮。丹波産の小豆と栗を使い、こし餡を作るための水は梨木神社の名水を汲んできました。 素材の風味を引きたてる繊細な甘さと素朴な見た目は、試行錯誤の末にようやくたどり着いた成果です。 菓子器は瑞々しい青竹の船形。「庭園」の講義で見学に訪れた竹材店に製作を依頼した特注品です。
在学中に結んだ数多くのご縁が取り合わせに活かされた清々しい野点席。 爽やかな秋空のもと、およそ200名の喫客が心なごむ一服を楽しみ、新たなご縁も生まれたようです。

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