
学園歳時記【きさらぎ第5号】〜陰翳礼讃―杉本家住宅見学
平成26年02月24日(月)
昨年12月17日(火)、茶道科3年と研究科は校外研修の一環として下京区の杉本家住宅を訪れました。
四条通のひと筋南、綾小路通に面する杉本家は江戸時代中頃から「奈良屋」の屋号で呉服業を営んだ商家です。
元治元年(1864)の大火で焼失したため、現在の家屋は明治3年(1870)に再建されたもの。
店と住居からなる杉本家住宅の造りは大店(おおたな)と呼ばれ、町家構成の典型とされています。
すぐれた建築技術と文化的価値が評価され、平成2年に京都市有形文化財となりました。
平成22年には、大火による焼失を免れた土蔵と合わせて国の重要文化財に指定されています。
裏千家学園が杉本家住宅を訪ねるのは今年度が初めてです。
2月24日(月)の午後に今度は茶道科1年・2年、1年コースが見学に訪れました。
公益財団法人 奈良屋記念杉本家保存会の杉本歌子学芸部長が案内役をつとめてくださいました。
繁華街に昔ながらの佇まいをとどめる希少な住宅建築。寺院や公家のような豪奢な装飾はありません。
簡素ながらも随所に工夫が施され、建具や調度の細部に京大工の技と魂が宿っています。
商家の暮らしぶりに想いを馳せながら、どの部屋も自然光だけをたよりに拝見しました。
ふすまや畳、土壁や天井にまで障子越しの淡い光が陰翳(いんえい)をつくります。
学生たちは普段より敏感に時の移ろいを感じた様子でした。
