学園だより

学園歳時記【みなづき第2号】〜利晶の杜

平成27年06月10日(水)

梅雨の晴れ間となった6月10日(水)、全校生そろって大阪堺市へ校外学習に出かけました。 行き先は「さかい利晶の杜」と利休居士ゆかりの南宗寺です。 今年3月にオープンした利晶の杜は堺の歴史と文化を紹介する博物館。 ガラス張りの建物は「千利休茶の湯館」、「茶の湯体験施設」、「与謝野晶子記念館」、「観光案内展示室」からなります。 地域のさまざまな情報を発信する観光拠点の役割も担う新しいタイプの施設です。

茶の湯体験施設には立礼席が設けられ、奥には三千家の家元命名の八畳の茶室が三間ならんでいます。 この日は特別に裏千家淡交会堺支部の方々から呈茶のもてなしを受けました。 おととし茶道科を卒業した三窪笑えり子(50期生)さんが茶室担当として勤務。 鵬雲斎大宗匠命名の四畳半茶室「無一庵」や待庵を写した二畳隅炉の茶室を案内してくれました。

利休屋敷跡にのこる「椿の井戸」は往時の姿のまま。今なお地下水が湧く利休時代の遺構です。 利晶の杜の学芸員をつとめる伊住禮次朗様は学校長の甥にあたる方。堺の新名所の建設にあたり企画の段階から携わっていらっしゃいます。 禮次朗様の案内のもと、音声ガイドやタッチパネルなど先進の技術が取り入れられた千利休茶の湯館と与謝野晶子記念館を鑑賞しました。

南宗寺は臨済宗大徳寺派の寺院。1557年(弘治3年)、三好長慶が父の菩提を弔うため大林宗套を開山に建立したとされています。 大阪夏の陣によりいちど焼失したのち、沢庵宗彭らにより現在の場所に移して再建されました。
昼食休憩をとり、続いてご住職の田島碩應老師から法話。 「お茶の修行も座禅と同じ。一つのことに集中する経験は今後の土台となり、培ったものすべてが一生の力になります」と力強い激励のことばをいただきました。 千家一門の供養塔や茶室「実相庵」、枯山水の庭、重要文化財の仏殿など、ボランティアガイドの方が丁寧に境内を隈なく案内してくださいました。

茶の湯発祥の地であり、「市中の山居」という独特な美意識を育んだ堺。 国際色豊かな中世商業都市のすがたに想いを馳せる一日となりました。

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