研究科で学んで


研究科春期3か月コース 西野典子

  昨年、母を見送り、気が抜けた私の様子を心配した家族の後押しがあり、思い切って学園の門をたたきました。入学してみると、先生方の志の高さに恐縮し、これは安易な決断であったと思い、帰った方がよいのではと思った事もありました。

  日々の稽古では、先生方が繰り返し語り教えて下さる「あわれみ深く奥ぞ教ふる」のお姿を目の当たりにし、感謝の気持ちでいっぱいです。

  学園では実技や講義の他に、献茶式の参列、茶室の見学、炭切りなど多くのカリキュラムが組まれています。相伝稽古などで、宗家内でお稽古させて頂けた事は、大変貴重な経験でございました。又、水屋当番では、若い学園生の皆さんと一緒に、露地の掃除から水屋仕事などを勉強致しました。

  6月には、桐蔭席での稽古茶事の経験をさせていただきました。雨天の中、初めて傘を使う私たちに、先生自ら傘をかざして歩んで見せて下さいました。その美しい姿は心に深く刻まれております。

  毎朝、利休御祖堂に向って手を合わせ、通学した日々に感謝し、毎日を笑顔で過ごさせて頂きました喜びを土産に、家族の元に帰らせて頂けます事を心より御礼申し上げます。